南京感想文 Nanjing scribble

突然始まった南京の暮らしを気の向くままに紹介します。

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『真珠の首飾りの少女』

『真珠の首飾りの少女/GIRL WITH A PEARL EARRING』(2003年イギリス)

 フェルメールの描く絵の世界の雰囲気をたっぷり味わえる映画。この絵をモチーフにした小説が原作のフィクション。フェルメール(コリン・ファース) の家でメイドとして働き始めたグリート(スカーレット・ヨハンソン)の物語。色や光-すなわち芸術-の世界を共有する二人は、現実には主人と使用人の関係を超えることはできない。互いの内側にある想いを言葉にするわけでもなく、絵画を通してつながる二人の姿。手を握るシーンさえない作品だが、ぼってりとしたスカーレット・ヨハンソンの濡れた唇や、真っ白な肌に美しい巻き毛を対照させて官能的な映像を作っている。抑えている情熱は二人の視線にあふれ、周囲の者にも簡単に悟られてしまうほどの深いものになってゆく。フェルメールの妻に激しく嫉妬され、彼の子どもに嫌がらせをされ、グリートは厳しい状況に追い込まれてゆくが、それでも絵の完成に協力することをやめない。真珠のピアスをつけるために耳たぶに針を突き刺すシーンは、二人の象徴的な情事だと言える。
 ところで、作品の中にカメラ・オブスキュラが出てくる。camera obscuraは文字通りには「暗い部屋」で、針穴写真機の原理を利用した外界を正確に写し取るための装置。その特徴は表象学の先生によると、1)外界の対象を直接目にすることなく、この対象の「表象」を通じて真実を探る→光を通じた外界の正確な表象をもたらす装置、2)この装置を利用するには、外界との直接的な遭遇を避け、閉ざされた空間内に自己を位置づけることが必要、で、これが当時の学問や知のあり方に対応するという。フェルメールが描いた天文学者は天体そのものではなく天球儀(天の表象)を研究し、地理学者は地球そのものではなく地図(地球の表象)を研究している。フェルメールは純粋に美を追求していただけかもしれないが、その作品には多くの「閉ざされた」ものが描かれているようだ。

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コメント


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コメントじゃないけど

pandacolaさん、こんにちは。メリークリスマス!
ブログ再開したの知らなくて、無線3Gのインターネットが使えるようになったので、「お気に入り」サイトを整理していて気がつきました。

uko | URL | 2007年12月25日(Tue)00:35 [EDIT]


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